カテゴリー別アーカイブ: 3.11東日本大震災と原発事故

生誕110年!


熊本県で発生した地震の被害により亡くなられた方に謹んで お悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。 一刻も早い復興を心よりお祈り申し上げます。


今回の地震は、気象庁が「今後の展開は予測できない」とする「熊本地震と引き続く地震活動」で、熊本、大分の九州中部域を横断するように震源を変えて被災地を拡大し、さらに激しい雨を伴うなどして先行き不透明な情況を呈しています。


先日29日にも、2013年の第16回で『小梅姐さん』を上映して頂いた『ゆふいん文化・記録映画祭』の開催地である大分県由布市の湯布院町が、同県中部を震源とする震度5強の地震に見舞われています。


映画祭事務局が、4月16日の地震で当地が大きな被害を被ったにも関わらず、被害にあわれた両県の皆さんと一緒に立ち上がろうと、同月24日に予定通りの開催を発表したばかりでした。 http://movie.geocities.jp/nocyufuin/home.html

活発な地震活動は震度1以上が、昨日30日午後5時までにすでに1087回を数え、日本列島が地震の活動期に入った可能性が高いと指摘されています。


さらに中央構造線への影響が取沙汰されるに至って、ほぼその線上域内に位置するにも関わらず稼働を続ける薩摩川内原子力発電所や、7月にも再稼働かと言われている四国愛媛の伊方原発が、まったく不必要な、もっといえば実に迷惑な心配事まで、住民に背負わせてくれています。



大自然の営みに、私たちはもっと謙虚であるべきだと思います。


4月20日の姐さんの生誕110年に際し、最近では更新がままならないこともあって、今回は生誕の日に合わせてアップしようと少し早めにまとめようとした矢先の、この地震でした。
記事は振り出しに戻り、そしてとうとう5月になってしまいました。


2011年の3.11に際して、本サイトでは被害3県の民謡を、その歌詞と震災前の風景などを、ただ坦々と紹介し続け、鎮魂と祈りを、そして原発の終息を願い続けました。


熊本も大分も、姐さんにとっては故郷、馴染み深い土地です。そして、熊本にも大分にも、姐さんが残したたくさんの民謡があります。


姐さんの生誕110年にこうした記事は相応しくないのかもしれませんが、九州の民謡をこよなく愛して世に広め人一倍人情家だった姐さんならばこそ、この事態の早い終息と復興を願っていることと思います。


以下、姐さんが世に出した民謡を紹介し、あらためて土地(地域)と民謡(ウタ)の絆を想い、私たちも一刻も早い鎮静と終息、そして復興と安寧を祈りたいと思います。


熊本県
おてもやん、キンキラキン、熊本音頭、ぽんぽこにゃ、球磨六調子、田原坂、よへほ、天草ハイヤ節、天草民謡(帰りそこねて)、五木の子守唄、おざや節(大鞘節)

大分県
別府流し、別府まっちょる節、宇目の子守唄、大分音頭、大分県民謡、大分流し、こつこつ節、下ノ江節、関の鯛釣り唄、鶴崎踊り(猿丸太夫)、豊後風景(吉四六さん音頭)、耶馬溪音頭、耶馬溪小唄

 

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謹賀新年


あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。

元旦の朝、北九州では穏やかな陽射しが町を包んでいました。冷たい風が吹きすさぶ、どんよりとした寒空が続いたこともあって、久々のこの陽射しは年の改まりを実感させるものでした。山に登らずとも、海に望まずとも、太陽は神々しく耀いています。粛然とした思いに駆られ、何を願うともなく、つい、胸中で手を合わせました。

そうして、ふと、こういうふうに好天に恵まれる元日が、これから先、どれくらい訪れるのだろう、との思いが過ぎりました。午後から曇りがちになり、少し雨が降りました。二日は晴天。日中は透き通るような青空が満天に広がり、黄昏前の陽射しは目も眩むまぶしさでした。その後も穏やかな気象が続いています。

この柔らかな陽射しの下に、311の災禍によって避難を余儀なくされた多くの人たちがいます。あるいは、明日への不安で胸をいっぱいにした人たちがいます。決して大仰にではなく、このクニの行く末を案じてしまいます。

ウタの力が試されようとしています。表現の有意性が問われようとしています。そんな思いを強くする、2014年の幕開けです。

さて、「本條秀太郎の会 特別公演~『小倉節』によせて~」、いよいよ開演が迫ってきました。
本條さんご自身も大変楽しみにされており、高弟の本條秀五郎さん(三味線)をはじめ、尺八、笛、鳴り物、打楽器、さらに舞踊家も加えた当代一流の選りすぐりのメンバーに、小倉節全国大会歴代優勝者三名も加えた出演陣で、一回性という舞台の醍醐味を最大限に表現すべく、鋭意検討を重ねているところです。どうぞご期待ください。

「本條秀太郎の会 特別公演~『小倉節』によせて」のまとめ

 

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3回目の3.11

3月11日。
12日の投稿になってしまいましたが、今年も、姐さんから少し離れます。

天を突き破りたき拳あり
たましひの斧をやしてゐたりけり
            <堀本裕樹句集『熊野曼陀羅』(平成24年度)より>

昨年度の俳人協会新人賞を受賞した句集の中の句に、心情は激しくシンクロしています。
子どもたちの、さらにはこれから生まれてくる新たないのちの、誕生と成長に、すべての行末に、100%の祝福を贈れない、もどかしさと後ろめたさを思わざるをえません。

さて、国からこんな発表がありました。

子どもの甲状腺検査 福島県以外と同じ
NHK 3月8日 21時44分

原発事故を受けて、福島県が子どもを対象に行っている甲状腺の検査で、小さなしこり などが見つかった割合が、福島県以外で行った検査の結果と同じ傾向だったことが分 かり、環境省は、福島県での検査結果は原発事故の影響によるものとは考えにくい としています。 原発事故で放出された放射性ヨウ素は、子どもの甲状腺に蓄積してがんを引き起こす おそれがあり、福島県は当時18歳以下だったすべての子どもを対象に甲状腺の検査 を行っています。
福島県などによりますと、ことし1月下旬までに検査を受けた13万3000人余りのうち、41.2%の甲状腺に5ミリ以下の小さなしこりなどが見つかりました。
環境省は、見つかったしこりなどはほとんどが良性のものだとしていますが、福島県の 保護者などから事故の影響が大きいのではないかと不安の声が上がっていたことから、 原発事故の影響が小さい青森県の弘前市、甲府市、それに長崎市の3か所でも同じ 検査を行いました
その結果、検査した3歳から18歳までの合わせて4365人のうち、福島の検査で確 認された小さなしこりなどが56.6%で見つかり、福島県とほぼ同じ傾向だったという ことです。
これについて、環境省は「福島の結果が原発事故の影響によるものとは考えにくい ことが分かった。この結果が不安の解消につながることを期待したい」と話しています。


事故の影響はないとする国や県の発表に対して、当然ながら異論反論が続出しています。そうした中で、インターネットメディアの一つ、OurPlanetTVが伝える、疫学専門家へのインタビューがありました。


甲状腺がん「被曝の影響、否定出来ず」〜疫学専門家インタビュー

ourplanet-TV 水, 03/06/2013 – 15:37 (約28分)

福島県民管理調査の検討チームは先月13日、2011年(平成23年)に甲状腺検
査をおこなった3万8114人のうち、3人の子どもが甲状腺がんであることを発表し
た。このほか、細胞診断で、7人が悪性または悪性疑いであることも明らかにした。
もともと100万人に1人か2人程度とされている子どもの甲状腺がん
疫学的に見ると、この数値は、いったいどんな意味を持つのか?
疫学を専門とし、『医学と仮説―原因と結果の科学を考える』の著者でもある岡山
大学大学院環境生命科学研究科の津田敏秀教授に話を聞いた。

甲状腺がん3人を疫学的にどうみるか?
津田教授によると、比較的稀な病気が、ある一定のエリアや時間に3例集積すると、
「多発」とするのが、疫学の世界では常識だという。
今回のケースは、わずか38,000人の調査で、1年の間に3例もの甲状腺がんが
発生しており、「多発」と言わざるを得ないと断言する。




結果的にそのことが、「原発事故の影響によるものとは考えにくい」とする根拠にもなっている、初期データの逸失。こうした問題も報道されています。


TBS報道特集「ヨウ素131内部被曝 初期検査に“空白部分”」
(約28分)
2013年3月9日放送

@動画というサイトに紹介されているもので、ここでは「ヨウ素131による『初期・内
部被曝データ』を意図的に隠蔽して、将来的に子供たちが発病した場合も『被曝
の影響かどうか分からない』ことにしたい日本国政府
」と、この番組を紹介してい
ます。
http://www.at-douga.com/?p=7284


しかし、この「原発事故の影響によるものとは考えにくい」とされる、件の福島第一原発は、「冷温停止状態を維持して、落ち着いた状態である」と東電も国も言い続けています。

冷温停止状態を維持 福島第一原発1~4号機
(2013/03/01 福島民報)
http://www.minpo.jp/news/detail/201303016898

 東京電力は28日、福島第一原発1~4号機の安定化と廃炉に向けた現状を
示した。1~3号機の原子炉の温度は10~30度台の冷温停止状態を維持。
1~3号機の放射性セシウム放出量は1時間当たり最大計約1千万
ベクレル
で事故当初の約8千万分の1に減少するなど、落ち着いた状態にあ

るとしている。
 原子炉で最も高いのは2号機の格納容器内の31・5度、燃料プールは4号機
の19・0度となっている。
 1~3号機の放射性セシウム放出量は、注水により格納容器内の蒸気の発生
を抑制することで低減傾向が続いている。敷地境界の被ばく線量は年間0・03
ミリシーベルトと評価し、自然放射線による年間線量(日本平均=年間約2・09
ミリシーベルト)の約70分の1という。
 万一の事故で原子炉への複数の注水機能が同時に失われた場合でも、3時
間程度で注水を再開できるバックアップ設備も確保したとしている。
 建屋地下階に滞留している高濃度の放射性物質を含む汚染水の処理に向け
ては、建屋への地下水流入を抑制するバイパスや、汚染水中の放射性物質を
取り除く「多核種除去設備(ALPS)」の早期整備・稼働を目指すとした。


1時間=1千万ベクレル

1日:1千万ベクレル×24時間=2億4千万ベクレル
1月:2億4千万ベクレル×30日=72億ベクレル
1年:72億ベクレル×365日=2兆6280億ベクレル

3.11前だったら一面トップの大ニュースで、連日非難のキャンペーンが続いていたのではないでしょうか。
それが今、落ち着いた状態にあるとしている、と当局の発表のまま、無批判に報道がなされています。そして、連日連夜滞ることもなく、四方八方へと拡散し続けているのです。

注水を再開できるバックアップ設備も確保したとしている”という点も、昨夜のNHKスペシャル「3.11あの日から2年『メルトダウン 原子炉“冷却”の死角』」が、事故の際の消防車による注水が、55%も失われていたという重大な欠陥を指摘していました。

いずれにしろ今、日本では、間違いなく異常事態が進行しているとの感を強くせざるをえません。フクシマに向き合おうとしない電力会社の、電気料金値上げを申請中の九電を例にして、以下のような記事もありました。


記者の目:震災2年・フクシマの教訓=関谷俊介
http://mainichi.jp/opinion/news/20130308k0000m070125000c.html
毎日新聞 2013年03月08日 00時35分

 電力各社の電気料金値上げ申請が相次いでいる。九州電力も火力発電の燃料費増
加を理由に経済産業省に申請中だが、その内容は原発推進の姿勢が鮮明だ。原発に
依存してきた経営をどう反省し、原発のリスクとどう真剣に向き合おうとしているのか、
東京電力福島第1原発事故の教訓は見えてこない。将来のエネルギー政策決定を引き
延ばす政府にも同じことが言える。事故から2年がたつ今も苦しみが続く福島の惨禍を
政府は直視し、原発推進に固執するだけの値上げを安易に認めるべきではない。

 ◇九電の料金改定、再稼働盛り込む
 九電の家庭向け電気料金の値上げ申請は、経産省の有識者会議「電気料金審査専
門委員会」が審査し、6日に査定結果を経産相に報告した。
 申請では、前回(08年)の料金改定に比べ今後3年間で、火力発電の燃料費が年平
均1669億円増加すると試算する。その陰で原発にも前回より手厚い費用を充てている。
運転から37年で老朽化が指摘される玄海原発1号機(佐賀県)を含む全6基に年平
14億円増の維持費(年平均539億円)を費やすほか、安全対策費として新たに年
平均428億円を盛り込む。さらに申請の原価には入れていないが、追加の安全対策
費として
数百億円を見込んでおり、川内原発(鹿児島県)3号機増設計画(建設費約5400億円)も捨てていない。

 1、2月にあった消費者の意見を聴く同省主催の公聴会では、陳述人の多くが九電に
原発依存からの脱却を求めた。だが審査委員は「審査するのは電気事業の原価が適
正か否かで、エネルギー政策ではない」と話し、陳述人の声が審査に反映される仕組
みにはなっていない。その結果、審査委によって顧問の報酬などが原価として認めら
れず値上げ率が圧縮される一方、原発推進方針は依然として守られる。今後、消費者
庁による検討を経て、関係閣僚が会議を開き、最終的に経産相が値上げの認可を決
める。
 九電役員OBが震災直後、私に言った言葉が思い出される。「数年たてば多くの国民
が原発事故のことを忘れる。原発はまた元の通り動くよ」

 しかし、福島には今も忘れてはいけない重い現実が横たわる。2月下旬、福島第1原
発周辺の自治体を歩いてそう実感した。20キロ圏の南相馬市小高区には、津波で倒壊
した建物がむき出しのまま放置され、震災当時田畑を耕していたトラクターが転がっていた。この地域は放射線量が下がるなどしないと寝泊まりが許されていない。家の片付け
をしていた男性(75)は「近所を見回してもまたここに住もうという人は少ない。特に若い
人はもう戻って来ないだろう」と声を落とした。大熊町の女性(65)は避難先で夫を亡くし、「家は無事だったのに原発のせいで帰れない。夫もこんなに早く死ぬことはなかっただろ
うに」と嘆いた。日に日に弱る母親(92)を介護しながら、いわき市の仮設住宅で過ごす。

 仮設住宅の自治会長の男性(59)は「私たちの地域は線量が高く、国が除染しても故
郷に帰れないと分かっている。でも東電の賠償が十分でなく、他に移り住むこともできない。お年寄りは狭い仮設住宅でただ死ぬのを待っているだけだ」とうなだれた。
 原発事故がもたらす、こうした悲惨な現実を九電が本気で受け止めているとは思えない。見ているのは原発をすぐにでも動かして会社の赤字を解消したいという目の前の利
益だけではないか。

 ◇リスク考慮は長期的視点で
 九電の原発は原子力規制委員会の新安全基準に照らすと、四国電力とともに再稼働
の一番手とみられている。九電は新基準の施行時期と同じ7月の2基再稼働を値上げ
申請の計画に盛り込む。規制委が「(再稼働の審査期間に)半年から1年必要」としてい
るのに対し、九電の瓜生(うりう)道明社長は会見で「もっと(簡素な)やり方があるのでは
ないか」とまで発言している。

 政府のエネルギー政策決定の先延ばしを横目に、電力会社は長期的な視点を持たな
いまま原発推進に突き進んでいるように思う。そこで垂れ流される費用は電気料金の形
で消費者に転嫁される。政府は認可にあたり、原発リスクの長期的な視点を考慮すべきだ。電気事業に適正な原価か否かの判断だけでは、福島の事故を経験した国としての
自覚に欠ける。福島の原発事故の損害額や原発の高レベル放射性廃棄物の処理費用
が最終的にいくらになるか分からない以上、原発のコストは今後も天井知らずだ。現代
に暮らす我々ばかりか、未来に生きる人々にも大きな「つけ」を回す値上げにストップを
かけられるのは政府だけだ。(西部報道部)


最後に、スピーチを1件紹介したいと思います。(約24分)
講演は、辛淑玉(しんすご)さん。
10日に京都で開催されたバイバイ原発3.10きょうとでのものです。



つかみの見事さ、構成と話のフリ(方向性)の見事さ、緊張と緩和、ほとんど原稿を見ることなく淀みないコトバの流れ、もちろんご自身の活動に裏打ちされた内容の濃さと説得力・・・。
芸能の始原ということが、頭をよぎりました。紛れもなく芸能です。
一見一聴の価値ある、素晴らしいスピーチだと思いました。

なお、みんな楽しくHappy♡がいい♪というサイトでは、このスピーチの文字起こしが、動画とともに掲載されています。

海に出て木枯らしるところなし   山口誓子
雪とけて村いっぱいのどもかな   一茶



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3.11を前に(後)

今回の原発事故は、原子力(核)が生態系のどこにも位置できない事と同時に、人類によるすべての営為が、実は無償で付与される太陽エネルギーに由来するものであるということを、私たちに思い出させ、あるいは気づかせてくれたのではないでしょうか。

中沢新一著『日本の大転換』は、「生態圏」と「太陽圏」という言葉を使って、そのことの本質的な意味合いを説き、原子力が『人間に許された限界』を超えていることを明かします。言うまでもなく、私たち人類は地球表層部の薄い層である「生態圏」に生きています。以下、同著より少しだけ引用します。

・        原子炉内で起こる核分裂連鎖反応は、生態圏の外部である太陽圏に属する現象である。そしてこの「炉」を燃やして発電をおこなう原子力発電は、生物の生きる生態圏の内部に、太陽圏に属する核反応の過程を「無媒介」のままに持ち込んで、エネルギーを取り出そうとする機構として、石炭や石油を使ったほかのエネルギー利用とは、本質的に異なっている。 

・        地震と津波は、生態圏の直下で起こる地殻の振動に原因しているから、それによって生態圏の受ける損傷は、生態圏自らの力で修復していく事ができる。ところが、いったん原子力発電所に深刻な事故が発生して、大量の放射性物質があたりにばらまかれてしまうと、その土地では、生物はその先何年もの間、生存することが困難になる。もはやその土地は、生態圏ではなくなってしまうのである。 

・        なぜか。それは原子力発電所そのものが、生態圏の外部に属する物質現象から、エネルギーを取り出そうとする技術に原因がある。生態圏の外部、もっと正確に言えば、地球をも包み込む「太陽圏」の物質現象が生態圏に及ぼしたものの影響を、長い時間をかけてでも癒していく能力を、私たちの生態圏はもっていないのである。

そして、人類の経験したエネルギー革命の歴史(A・ヴァラニャック(仏)『エネルギーの征服』)を踏まえ、

・        家の炉の火も、鍛冶師の炉の火も、火薬の火も、石炭や石油を燃やして得られる火も、すべては化学反応を利用している。そしてあらゆる化学反応は、原子のいちばん外側の軌道を運動している電子同士の結びつきによって、引き起こされる。つまり、「第六次エネルギー革命」にいたるまで、人類は原子核の内部にまで踏み込んで、エネルギーを取り出すことはしなかった。

 ・        ようするに、生態圏に生きる私たちの実存のすべては、安定した原子核の外側を運動する電子によって支えられている。生態圏のなかには、原子核の融合(これは太陽の内部で起こっている現象だ)や分裂(原子炉がそれを実現する)は、組み込まれていなかった。ところが、「第七次エネルギー革命」が実現した「原子力の利用」だけが、原子核の内部にまで踏み込んで、そこに分裂や融合を起こさせた。そして、化学反応や電気反応ではとうてい実現できないほどに莫大なエネルギーを、物質のなかから取り出したのである。

・        福島原発の事故がはからずも露呈させたのは、原子力を扱う日本人の科学者の多くが、自分が専門とする分野でいったいなにがおこなわれているか、ことの本質を理解していないのではないかという、恐ろしい疑念であった。 

・        原子力発電は生態圏内部の自然ではないのだから、それをあたかも自然の事物のように扱うことは許されない。いわんやそれが、「ぜったいに安全である」ことなどは、ありえようがないのである。生態圏の自然と太陽圏の「自然」を混同することほど、危険なことはない。 

・        原子炉内では、地球生態圏の内部では、自然状態ではほぼ起こりえない原子核の分裂が、連鎖的にたえまなく起こっている。そして、この分裂から、莫大な熱エネルギーが発生している。しかし、その熱エネルギーを電気に変換する装置群や、原子炉をコントロールするのに必要な電源を発電所の外から供給するシステム自体は、まったく通常の生態圏内の「古典的」仕組みでできている。

・        このように原発システムにおいては、生態圏外的な仕組みと、生態圏内的な仕組みとが、軽水(ふつうの水)や配管やコードや厚めの鋼鉄板などといった、古典的な域を超えてむしろ原始的と言ったほうがいい素材で、媒介されているにすぎないのである。 

・        しかも中心部では、核分裂によって発生したエネルギーは、燃料棒のまわりに接触している水を直接振動させて、それを沸騰させ、その蒸気が配管をとおしてタービンに送り込まれている。 

・        媒介なしのエネルギー装置、これが原子力発電システムの本質である。原爆は科学者によって「制御不能となって暴走する原子炉」と定義づけられている。そう考えれば、原爆においても原発においても、この媒介なしのエネルギー装置という本質はまったく変わらない、ということがわかる。

本書はこのほか、資本主義や市場メカニズム、人間の心のつながりといったことが述べられ、「3.11以降の我々が進むべき道とは?新しい『革命』へのマニュフェスト」と帯に記されるように、これから用意されるべき第八次のエネルギー革命と、文明への提言が語られていきます。本書の紹介を兼ねて、ここではネット上で読む事ができる多くの感想や批評のなかの一つを、短めに紹介して次に進めたいと思います。

○自閉するシステムからの脱出
<前略>今日ある原発の是非の論議を、「原発推進派も新エネルギー派も」嵌ってしまう「効率論の罠」に収斂させてはならない、という思いが中沢さんにはある。「経済計算やエネルギー計量論の狭い枠」のなかでとらえていることはできない。だから「今回の『日本の大転換』では文学的な物語や修辞的な認識論の回路に一切頼らず、徹底して科学的な記述スタイルをベースにした」と語っている(「PLANETS SPECIAL 2011」)。

 原子力発電からの脱却は、「たんなるエネルギー技術と産業工学の領域に限定される影響を及ぼすばかりでなく、わたしたちの実存のすべてを巻き込んだ、ラジカルな転換」をもたらすことを明らかにする。
 ここから彼は、「贈与」をキーワードにしながら、「現代の資本主義からの脱出の可能性」(人類の本性によりふさわしい形態への変容)へと思考を進める。めざされるべきは「第八次エネルギー革命」であり、それは経済に「太陽と緑」の次元を取りもどすことになる、と。

 「贈与」の問題などさらに考えるべき課題は残されているが、大きな方向性としては、わたしたちがこれから進むべき道のアウトラインをわかりやすくみごとに描いている。「日本文明が根底からの転換をとげていかなければならなくなった」との冒頭のメッセージに同意したい。(スロー風録~素浪人の風録)


次に、動画を紹介します。

東日本大震災の被災者である子供たちや子をもつ親の証言を通して3.11の津波と原発事故のその後を紹介するBBCドキュメンタリー(2012年3月1日放映)です。

BBCドキュメンタリー「津波の子供たち」”Japan’s children of the tsunami ” 3:11(58分28秒)

 BBC(イギリス放送協会)の制作でナレーションや字幕は英語ですが、証言は日本人、つまり日本語です。英語がわからなくてもまったく問題ありません。当事国の住人である私たちにとっては、その証言だけで充分すぎるほどです。

子どもたちは、インタビュアーに語るのではなくカメラに向かって語ります。カメラの向こうの未来に向かって語ります。その子どもたちの視線。その眼の輝き。一方で、遠くを見やる表情とその眼に顕れる例えようのない深い哀しみ。幼い心に押し寄せた一瞬の大地震と大津波、そして放射能という非日常の体験。画面を通してではありながら、この子たちの視線についたじろいでしまいます。秀逸なドキュメンタリーです。

最後に、姐さんとの関連のなかで見つけた一篇の詩をご紹介します。
本サイト一昨年の2010年1月28日付けで、碧南市の大浜音頭(作詞:河井醉茗、作曲:藤井清水)という民謡を紹介しました。

 その際、作詞者の河井醉茗について確認したとき、一篇のすてきな詩に出会いました。ただ、その時は、新民謡の歌詞というものが、野口雨情を例に出すまでも無くかなり優れた詩人たちの手によって生まれたものであることを再確認しただけでした。

しかし、その時出合った河井醉茗のこの一篇が、東京電力福島第一原子力発電所の爆発、メルトダウンという事件の後、にわかに光と潤いを帯びて眼前に蘇えりました。

子どもたちよ、と呼びかける、1932年に発行された詩集「紫羅欄花(あらせいとう)」の中の『ゆずり葉』という一篇です。3月11日を前に、この詩を掲げて当サイトのメッセージにしたいと思います。

河井酔茗『ゆずり葉』 

子どもたちよ
これはゆずり葉の木です
このゆずり葉は
新しい葉ができると
入れかわって古い葉が落ちてしまうのです

こんなに厚い葉
こんなに大きい葉でも
新しい葉ができるとむぞうさに落ちる
新しい葉に命をゆずって──

子どもたちよ
おまえたちは何をほしがらないでも
すべてのものがおまえたちにゆずられるのです
太陽のめぐるかぎり
ゆずられるものは絶えません

かがやける大都会も
そっくりおまえたちがゆずり受けるのです
読みきれないほどの書物も
みんなおまえたちの手に受け取るのです
幸福なる子どもたちよ
おまえたちの手はまだ小さいけれど──

世のおとうさん、おかあさんたちは
何一つ持ってゆかない
みんなおまえたちにゆずってゆくために
命あるもの、よいもの、美しいものを
いっしょうけんめいにつくっています

今 おまえたちは気がつかないけれど
ひとりでにいのちはのびる
鳥のようにうたい
花のように笑っている間に
気がついてきます

そしたら子どもたちよ
もう一度ゆずり葉の木の下に立って
ゆずり葉を見るときがくるでしょう

 

 

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3.11を前に(中)

ところで、「還元作用も含めた、『循環構造(サイクル)』」であるはずの生態系は、すでに様々なところで破綻が生じており、しかもまるでローリングストーン状態のような印象を拭えません。

この生態系のあり様(自然の摂理)について、先の『カムイ伝講義録』(田中優子著/本サイトではウェブ版『カムイ伝からみえる日本』を参照)は、以下のように述べています。「還元作用も含めた、『循環構造(サイクル)』」の部分も含めた一文を、若干の省略を入れつつ少し長くなりますが引用してみます。

 舞台は、沼の底であった。ここには、多種多様の生物が棲息していた。追忍の術策にはまったカムイが、巨木と共に沈んできたのだ。その時、カムイの鎖骨には深く鉤(カギ)が食い込んでいた。どのようにあがいても、鉤はなかなか外れない。さらにこの鉤には鋼入りの縄が縛り付けてあり、その先は巨木に絡み付いている。もはや彼一人の力では、この状況を克服することはできなかった。しかし諦めることは死を意味する。ここへ来てカムイはなお、生への執着を見せつけた。彼は最後の手段として、「自然の法則」を利用しようと試みる。

 彼は2つの方策を準備していた。第1の策として、カムイは魚万(またはコマセ)と呼ばれる丸薬が入った筒を、水中に放出した。これは魚をおびき寄せるための撒き餌である。その作戦の目的は「食物連鎖の人工的な濃縮」、つまり、この沼に保たれていた生き物同士の捕食関係を急接近させ、さらに捕食速度を短時間で進めることにあった。

 続く第2の策では、自身の体力消耗を抑えるために、一切の抵抗を止めてしまう。このようにして絶好のタイミングが訪れるまで、あとはひたすら待つしかなかったのだ。

 カムイの予想通り、この沼の生態系を成す生き物達は、早速反応を示し始めたのである。まず彼の傷口に無数の虫類が集まった。次は、それを求めて小魚がやってくる。さらなる時間の経過に伴い、やがてコマセの効果も出始めた。それにつられて、魚の群れが押し寄せてくる。これを狙って中型の魚、さらに大物へと規模は徐々に拡大していく。それはまさに弱肉強食の連鎖であった。

 カムイはこの現象に、すべての望みを託していた。この人工的に引き起こされた異常事態によって、大量の生き物が反応し、暴れ、そこに大きな「力」が生じると見込んでいたのである。やがてそれも的中し、暴走した生き物達によって沼の水質は乱された。結局、彼はこのどさくさに乗じて脱出に成功した。

 この弱肉強食を基とした生物の「ピラミッド構造」を少し確認しておこう。まずその底辺に近づくほど、生物の力は相対的に弱まる。逆に三角錐の頂点に向かうほど、その生き物にとっての天敵は減少してゆく。一方、種の個体数を比較した際は、下層部ほど数も多く、大型(そして強者)になればなるほど、少なくなる。これは、繁殖能力の差に拠るところが大きいと見られる。すなわち天敵の数に応じて、個体数を増やしておくという発想だ。

 ともあれ、これまで「自然界」は、こうした生物同士の関係構造が柱となって形成されていると考えられてきた。しかしダーウィニズム以後、殊に現代においては、その「常識」を不完全とする声も高まってきた。そもそも、こうしたピラミッド型の構造は自然界の一側面を抜き出したものに過ぎないのである。

 食物連鎖(生態系)の仕組みを把握するためには、やはりこの頂点に君臨する者の行く末が気になる。自然界の中において、彼らが最終的にどのように変化していくか、そこまで見ておかなければ、これは生態系の全体把握につながらないのだ。少なくとも、「強い」、「個体数が少ない」という徳目だけで高い地位が維持できるほど、自然は甘くはない。

 その場面のあと、カムイは再びその沼を訪れていた。かつて沼には、巨大な鯉が棲息していた。
 その巨大鯉のうちの1匹を、カムイは以前吸血魚から救ったことがある(第2部7巻「海跡湖(二)」)。これを機に、彼はこの巨大鯉に厚意を抱くようになった。であるから、当地を去る前に別れを告げようと考えていたのだ。しかし時を経た沼底では、彼の期待を大きく裏切る光景が待ち受けていた。あの巨大な鯉が、縄に絡みついたまま自由を奪われ死に絶えていたのである。

 巨大鯉はこの沼地において、ピラミッドの頂点に位置する存在であった。しかし今、その一切の抵抗を止めた巨体には、無数の生物が群がっていた。彼らの捕食活動によって巨大鯉は崩壊のプロセスを辿っていた。体の一部は食い散らされ、他の部分では腐敗が進んでいる。腐敗もまた、微生物の分解作用に拠る所が大きい。かつての王者は、こうして自らの肉体を、その下部に位置する生物に差し出したのである。

 この一連の様子を、生態系のもう一つの現象、「還元」作用とみることもできる。
 還元は第一に「根源に戻す」と言う意味を持つ。さらにこれを応用すれば「一部に集中した栄養分(ひいては富)を、再配分する、あるいは分散させる」という解釈も可能であろう。いずれにせよ、生態系は単に弱肉強食(ピラミッド型の社会)を指す言葉ではなく、還元作用も含めた、「循環構造(サイクル)」のことを総称している。

 確かに巨大鯉にしてみれば、その死に方は不本意であったかもしれない。
しかし、この死はあらゆる生物に還元されることで、むしろ活かされる結果となった。
 またこの一連の過程には一切の無駄がない。あらゆる生物にはやがて死が訪れる。この死が養分として活かされ、生かされる命がある。巨大鯉の挿話は、その生態系の壮大な有り様を、縮図にして垣間見せてくれる場面であった。

さて、原子力(核)発電はこの生態系に、「還元作用も含めた、『循環構造(サイクル)』」に、どのように位置づけられるのでしょうか?

無害になるまでヨーロッパでは10万年、アメリカの基準では100万年とも言われる、核のゴミ、すなわち高レベル放射性廃棄物一つとってみても、それは明快です。原発が稼動するだけ核のゴミは貯まる一方、しかしその処分場=貯蔵管理は、やれ深海だの、南極だの、宇宙だのと喧しくはありましたが、なべて海外からの厳しい批判にさらされ、結局狭い日本、そんな場所などあるはずもありません。

特に今回の事故で大量に発生した放射性廃棄物の、中間貯蔵施設などという実にいい加減であいまいな名前で、福島のどこかに仮置き場をとの画策が続いているようですが、最終のない中間は、そのまま最終を意味します。そんなものをいったん作れば30年、50年は当然そのまま、世代が変わり時代が変わり責任は先送りされながら、まさしくそこは生態系の外部に位置づけられる場所になっていくでしょう。

考えるまでもなく、この生態系が息づいている領域は地球上のわずかな範囲に過ぎません。
よく使われる例えですが、地球を1メートルの玉に例えると地球を包む大気の厚さ20Kmはわずか2mm、海の深さが平均して3729mらしいので、0.37mm。この実に薄い大気と水の層の中に生命は育まれているのです。ここが人類を含むあらゆる生き物たちの生存の場所なのです。

そして私たち生きものが、この層から一歩でも外に出ようとすれば、放射能汚染地区に入る作業員の方たちのように、人工的な装備を身にまとわない限り生きていくことは不可能だし、宇宙船の乗組員のように厳重に保護されても、長期間留まる事は困難でしょう。

プロメテウスの火とも例えられる原子力(核)のエネルギーは、この生態系還元作用も含めた、『循環構造(サイクル)』」の、どこにも位置づける事はできません。

 

 

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3.11を前に(前)

被災された方々の1年と、少なくとも直接的な被災を免れた私たちの1年とは、実感される時間のスピードに相当の開きがあるのではないかと思います。しかし、現実の1年はためらいも無くやってきます。

まず何より、あらためてご遺族、被災者の皆様に心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。

さて、この大震災について、原発事故について、似つかわしくないのではとの逡巡を抱きつつ、やはり触れずにはおれず時おり当サイトへ投稿させていただきました。

そしてこの間、特にインターネット上ではたくさんの情報や知見に出会い、また垣間見る事になりました。そうした中で印象に残っているものをホンの少しだけ紹介させて頂きながら、3.11を前に、再度このことについて触れておきたいと思います。

まず、武蔵野美術大学芸術文化学科の学生による卒業研究・制作の作品をご紹介します。
1945年から1998年までに、核爆発(核兵器の使用と核実験)が何回あったのかをグラフィックで伝える動画です。言葉や文字は無く、どの国の人々にも理解されるように制作されたすばらしい作品です。

14分25秒、ぜひフルスクリーンでご覧下さい。
Bombas Nucleares Detonadas 1945-1998 (Isao Hashimoto)(14分25秒)

こちらには、作者のコメントなどが紹介されています。
卒業研究・制作 | 武蔵野美術大学 芸術文化学科 – Arts Policy and Management

この作品をみて、日本人の2人に1人が癌になり、3人に1人が癌で亡くなる時代、などといわれる現在、その原因は様々論じられていますが、そしてそれはその通りだと思うのですが、1950年代あたりを境に急上昇していく癌の死亡率をみるとき、それらの要因に加えて放射能汚染による被曝が、実はベースにあるのではないかと思うようになりました。
主要死因別死亡率(人口10万人対)の長期推移(~2010年)
(このグラフで悪性新生物と標記されているのが、癌です)

そして、今年1月30日に放送されたという南海放送制作のテレビ番組です。
冒頭、ナレーションが語ります。

・・・しかし今から58年前、同じこの日本で線量計が人々に向けられた事は知られていません。そして、日本全土が放射性物質ですっぽりおおわれたことを。救済されることなく死んでいった多くの人々がいることを。

この番組は、1954年に米国が南太平洋のビキニ環礁で行った水爆実験で「死の灰」を浴びた漁船の乗組員の被害の実態、日米両政府の思惑で封印された事件の全容を、独自入手した米国の機密文書などで浮かび上がらせます。

58年前ビキニの水爆実験に巻き込まれたのは第五福竜丸だけではなかった。延べ992隻の漁船が被曝、しかも放射性物質は日本をすっぽり包み込んでいた。日米政府は僅かな金で幕を引いた。その後何も無かったかの様に実験海域のマグロが日本の食卓にあがり続ける。X年後、船員は若くしてバタバタ死んでいった…

上記動画と併せて、ぜひご覧下さい。
NNNドキュメント「放射線を浴びたX年後 ビキニ水爆実験、そして」(45分41秒)


次は音楽です。
FRYING DUTCHMAN  humanERROR(17分05秒)
フライングダッチマン  「ヒューマンエラー」

管理人が初めて聞いたのは昨秋だったでしょうか、いささかの戸惑いを覚えつつ聞き始めたのですが、半ばあたりから名状しがたい昂揚感につつまれ、シャウトへと至るエンディングまでに、つい胸奥に熱いものを感じてしまいました。

人それぞれ音楽への嗜好もあると思いますので、合わない場合はご容赦ください。
しかし、若いミュージシャンからこれほどまでに直截なメッセージが投じられることへの新鮮な驚きと、その勇気、説得力は充分に賞賛に値するものと思います。

以下はこの曲に寄せられていたコメントで、ものの見事に解説しきった一文、どうぞご一読を。

この内容を反原発の論客に語らせても1時間はかかるだろうし ややもすると無関心層には複雑で信じ難い原発の滅茶苦茶ぶりを とても解りやすく、たった17分間で上手くまとめている。 ライブで一発録音されたという その詩の構成力は驚嘆すべきものがあるし 口語調で力強く、正しい怒りに溢れ、それでいて根底にある優しさと純粋な責任感、そして勇気 この詩は文字で見るより音で感じる方が圧倒的説得力がある。 もう何回聞いただろう。 楽曲がシンプルな事もあり、この詩のもつ底しれぬパワーを感じずにはいられない。 間違い無く2011年を象徴する曲、 そして日本の大衆音楽史に大きな軌跡となりうると思う。



ここで短い動画を紹介し、未来への展望を期しながら前半を終わります。
宮脇昭「いのちを守る300キロの森づくり」(4分4秒)

震災復興ガレキの山は貴重な地球資源
津波から生命と財産を守る切り札
ヘドロも木にとっては貴重な栄養分
(財)地球環境戦略研究機関 国際生態学センター宮脇昭氏による、震災によって出た大量のガレキを再利用し、土地本来の本物の森による防潮林(防潮堤)の提案VTRです。

恐らくこうした提言が、数多く寄せられているものと思います。
しかし、これらの提言から何が選択され、実際にどう具体化していくのか、こちらから積極的にリサーチでもしない限り、残念ながらなかなかみえません。

生態系は単に弱肉強食(ピラミッド型の社会)を指す言葉ではなく、還元作用も含めた、『循環構造(サイクル)』のことを総称している。」(田中優子著『カムイ伝講義』)
少なくとも、生態系を保全する、そんな取り組みであって欲しいと思います。

 

 

 

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2012年

幕開けは、やはり民謡から始めましょう。ネットで耳にしたラジオ番組です。
MBSラジオ Radio News“たね蒔きジャーナル”

放送のタイトルは「心に響く相馬民謡」(1月6日、計約16分)
一昨年の日本民謡協会全国大会で、「相馬木挽き唄」を唄い優勝した松本幸雄さんが電話インタビューに応え、優勝した唄の録音が披露されます。

番組の案内です。
「きょうは福島県南相馬市にお住まいの松本幸雄さん(83歳)に電話をつなぎます。松本さんは相馬民謡の名手で全国大会優勝するのどの持ち主。原発事故で避難した時のこと、すっ­かり人の減ったまちのこと、毎年楽しみにしていた柿がもう食べられないことなどをお聞きします。一時は唄う気持ちを失いかけた松本さんですが、去年も大会に出場。前向きに­生きていこうとされています。もちろん、松本さんの唄も皆さんにお聴きいただきますので是非お楽しみに。」
2012/0106 [1/2]たね蒔きジャーナル 「心に響く相馬民謡」
http://www.youtube.com/watch?v=4r6KrZmGhas&feature=mfu_in_order&list=UL
20120106 [2/2]たね蒔きジャーナル 「心に響く相馬民謡」
http://www.youtube.com/watch?v=MS-Jz1MiB8c&feature=autoplay&list=UL4r6KrZmGhas&lf=mfu_in_order&playnext=1

そしてもうひとつ。
同じ“たね蒔きジャーナル”で放送された「福島県浪江町の民話の語り部大阪に避難」(1月5日、計約21分)

番組の案内です。
きょうは、福島県浪江町から堺市に避難してきた民話の語り部・吉川裕子さんをスタジオにお招きします。吉川さんの家は、福島第一原発から7キロのところにあり、現在は警戒区域で立ち入り禁止となっています。今夜は、浪江町に伝わる民話とご自身の被災体験を福島弁で語っていただきます。仙台出身の千葉猛アナとの東北弁トークをお楽しみください。
20120105 [1/2]たね蒔き「福島県浪江町の民話の語り部 大阪に避難
http://www.youtube.com/watch?v=YjAi-Z2Sd_o&feature=mfu_in_order&list=UL
20120105 [2/2]たね蒔き「福島県浪江町の民話の語り部 大阪に避難
http://www.youtube.com/watch?v=ODfNjI55ryA&feature=related

民謡、そして方言――。
民俗学者の柳田國男は、水田稲作を基盤とする定住農耕民を指して常民という言葉をあてました。民謡の松本さん、民話の吉川さんのお話や唄を聞きながら、柳田が示したその<常民>という言葉が思い出され、その豊かさをあらためて感じさせらました。そして一方で、このクニの形がやはり少しずつ溶け始めているような思いにどうしても捉われてしまいます。


本年も、どうぞよろしくお願い致します。

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久々!姐さんの唄声が…

ほんとうに久しぶりの、姐さんの話題です。
やっと姐さんの唄声が、ラジオで聴けそうです。

以前このサイトでご案内し、そして3.11大震災の影響で延期を余儀なくされていたNKK-FM「日本の民謡」:なつかしの名人芸特集[西日本編]が、いよいよこの夏に再放送されるようです。

放送予定は、8月28日(日)11:00~11:50
 
        9月5日(月) 5:00~ 5:50(再放送)
タイトルは、「日本の民謡」:アーカイブス特集[西日本編]となっています。

姐さんの唄はもちろん、「『黒田節』といえば小梅、小梅といえば『黒田節』」の十八番『黒田節』
ラジオの電波に乗って聞こえて来る姐さんの唄声は、この時期、感慨も一入のものがあるのではと今から楽しみです。

詳細は、NHKの民謡番組ホームページ「民謡なんでも広場」に放送予定が掲載されています。
ご参照下さい。http://www.nhk.or.jp/minyo/

なおこの情報は、今回もまた民謡歌手・小沢千月さんのホームページ民謡 小沢千月の管理人様から届けて頂きました。

相変わらず頻繁に起きている余震と思われる東日本の地震、最近では西日本でも活発化したのか地震告知のメッセージの度合いが増えています。http://www.hinet.bosai.go.jp/hypomap/
原発も先行き不透明のまま、暗雲晴れそうにもありません。

先にも書きましたが、ウタが聞こえる、ウタが唄えるという日常の、そのかけがえのない日常のことをかみしめながら、放送を待ちたいと思います。

関連記事
2011年3月24日
2011年3月19日

 

 

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SF、近未来の世界へ

厳しい暑さが続いたら、一転して今度は台風。そしていよいよ放射能は全国に広がりをみせはじめ、なでしこジャパンの活躍に胸を熱くし世俗の憂さをひととき晴らしてくれはしたものの、それを伝えるテレビの画面は地デジ化を急げと、画面上下の字幕だけでも鬱陶しいのに、さらに画面の中にまで入り込み左下ほぼ9分の1を使ってあと何日と字幕が重なろうがお構いなし、国民の知る権利をすら奪う勢いで恫喝紛い。クロスオーナーシップのせいなのかどうなのか、この世紀の愚挙を新聞は何一つ批判する事もなくついに目前。人皆唯々諾々、いささかオーバーに言えば、日本人の「『一億玉砕』という世界の歴史にない」(鶴見俊輔)恐るべき事態に突き進んだあの経験が、ふと頭をよぎる今日この頃です。 

というわけで久しぶりの投稿は、結局今回もまたますますその広がりが明らかになっていく放射能汚染のことなど、原発事故について少し留めておこうと思います。

ここのところ連日、福島県産の肉牛から国の暫定基準値を超えた高濃度の放射性セシウムが検出され、全国のかなり広範囲に流通、一部は消費されたというニュースが報じられています。

その前には、原発から60キロの福島市の子どもの尿から、セシウムが検出されたというニュースが関心を集めました。また、放射性がれきやその焼却灰の拡散など、放射能汚染の広がりは全国に及んでいることが次第に明らかになりつつあります。

スーパーホットスポットを次々発見 放射能汚染に新事実、この数値を見よ!全国1000ヵ所を独自調査http://gendai.ismedia.jp/articles/-/11933

10万ベクレルまで大幅引き上げ=福島の放射性がれき埋め立て基準-環境省
http://ceron.jp/url/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110714-00000142-jij-pol

こうした汚染の広がりと、そして被ばくは、もはや3.11を境に世界が変わったとすら言えるほどの事態を、私たちの上にもたらしているようです。それは、この日本という放射能に汚染された列島で生きるという覚悟、汚染を引き受けるという覚悟、にもかかわらず、否、それゆえにこそきちんと展望する未来への覚悟が求められている、ということなのでしょう。

この被ばく、特に食品の放射性物質の暫定基準値について、厚生労働省が暫定基準値(飲食物摂取制限に関する指標)を出し、発表当初から、その基準の甘さ、というより異常さが指摘されていました。

異常すぎる日本の「暫定基準値」 乳児に与える飲料の基準は国際法で定められた原発の排水より上 http://news.livedoor.com/article/detail/5591773/

日本では乳児で1リットルあたり100ベクレル、成人でヨウ素300ベクレル セシウム200ベクレルと定められている。これだけでは一見どういった数字なのか分からないが、この数値と比べるとどれだけ異常な数字なのかが分かる。  

なんと国際法で定められた原発の排水基準値は1リットルあたりヨウ素40ベクレル、セシウムは90ベクレルまでとなっている。つまり、乳児の暫定基準値ですら、現在の日本では原発の排水より高い放射性物質が残留しても良いという設定値になっているのだ。  

つまり政府が定めた数値を守るだけなら、原発の排水で作ったミルクを幼児に飲ませて良いということになる。ちなみにWHOで定められた平常時の飲料の基準は1リットルあたり1ベクレルまでなので、それに比べると乳児ですら100倍まで基準が高められているのである。  

また、野菜の暫定基準値についても1キログラムあたりヨウ素2000ベクレル、セシウム500ベクレルと設定されているが、これもWHOが定めた餓死を避けるための非常事態の数値、1000ベクレルの2倍ほどの数値だ。いくら暫定的な数値とは言え、事故以前に定められていた餓死を避けるための数値より高い放射性物質が残留している食品の流通が許可されているとは、非常に恐ろしいことではないだろうか。 
参考「世界もおどろく日本の基準値2000ベクレル」 
http://kingo999.web.fc2.com/kizyun.html

実は、この数値を決定するにあたって、3月25日に行われた食品安全委員会の議事録からいささか不可解な質疑が行われていることが明らかにされています。

食品の放射性物質の暫定基準値はどうやって決まったか 
http://katukawa.com/?p=4467

津金専門委員と滝澤専門参考人は、5mSv(10mSv)は健康に問題が無いので妥当であるという立場。10mSvまでの被曝は無害なので、その水準までの被曝に対策は不要という立場です。一方、中川専門参考人は、あくまで公衆被曝は1mSvが基本だが、現在の危機的状況を考えると基準をあげるのはやむをえないという立場です。中川専門委員の判断の妥当性を、ここでは論じることができません。なぜなら、現状がどれほど危機的な状況かという情報を、我々は知らされていないからです。中川専門委員は、原子炉の状態を始め、我々一般国民が知り得ないレベルの情報を持っています。その上で、高度な専門知識を駆使して、「公衆被曝限度の1mSvを大幅に上げなさい・・・そうでなければ生きていけない」とまで、断言しているのです。この言葉はものすごく重たいです。ぎりぎりの危機対応を迫られている状況にもかかわらず、その情報が国民と共有されていないという点に、私は不満を持ちます。  

そして、政府と東電は、5月12日に1号機のメルトダウンを、同24日に2,3号機のメルトダウンを認めました。しかも2号機は地震発生から約101時間後、3号機については約60時間後に起こしていた発表しています。 
政府・東電の発表に批判的な専門家は、事故当初からメルトダウンの可能性を指摘していましたし、原子力安全委員会の斑目委員長は、5月16日の記者会見で、1号炉のメルトダウンを認めた後、 
3月下旬に2号炉のタービン建屋の地下で高濃度の汚染水が発見された時点で、我々は少なくとも2号炉は、はっきりいってメルトダウンしていたとの認識がある。燃料が溶けなければあのような高濃度の汚染水は発生しない。ちなみに2号炉でそうなので、1号炉、3号炉についても、事故の経緯をみると同じ様な事が起こっているだろうと言う事は想像していたところだ」と述べた。(5月16日excite.ニュース)http://www.excite.co.jp/News/net_clm/20110516/Ncn_2011_05_1-23.html

 日本は、SFの世界で描かれてきた核戦争後と同様の近未来を、いよいよ現実として生きる時代に入ったようです。 
放射線被ばくの影響について、大変わかりやすいインタビュー記事がありました。もはや日本に住む者にとって、こうした知識は必須のものになってしまいました。以下全文を紹介いたします。

牛肉からも高濃度の放射性セシウム検出 放射能が身体に与える影響を考える
――崎山比早子 元放射線医学総合研究所主任研究員・高木学校メンバーインタビュー
早川幸子 [フリーライター] 2011年7月15日

福島第一原子力発電所の事故から4ヵ月が経過した。当初、漏れ出た放射能による汚染は福島原発周辺の市町村だけと伝えられていた。しかし、その後の自治体などの調査で、国が定めた避難区域以外にも一般の人の年間被ばく限度を超える可能性のある汚染地域が存在することが明らかになり、住民は不安をつのらせている。 

6月6日、筆者が共同主宰する「日本の医療を守る市民の会」では、被ばくについての正しい知識を市民に届けるために、元・放射線医学総合研究所主任研究員で医学博士の崎山比早子氏(「高木学校」メンバー)に改めて放射線が身体に与える影響についてインタビューした。 

被ばくに安全な「しきい値」など存在しない

――福島第一原発事故の対応策として、国はこれまで1mSv(ミリシーベルト)だった一般の人の年間被ばく限度を、緊急時ということで20mSv(暫定基準値)まで引き上げました。福島の母親たちを中心とした運動によって、子どもの被ばく限度は1mSv以下を目指すことになりましたが、避難地域に指定されていない伊達市や川俣町などには年間被ばく量が外部被ばくだけで20mSv以上に達する地域が点在しています。低線量被ばくは「CT検査1回分の線量だから大丈夫」「広島の原爆被害者の調査でも100mSv以下ではがんは増えていません」という専門家もいますが、本当に健康への影響はないのでしょうか。

  放射線被ばくの障害は、被ばくした線量によって急性障害と晩発障害に分けられます。一度に大量の放射線を浴びると、短時間で嘔吐、下血、吐血、紫斑、脱毛などの急性障害が現れますが、いちばん軽い症状はリンパ球や白血球の一時的減少です。これが出始める100~250mSv付近が、急性障害の「しきい値」(この線量以下ならば被ばくしても急性症状がでないという値)となっています。
 福島第一原発事故のあと、テレビで政府関係者や専門家が「ただちに健康に影響を及ぼす線量ではないから安心」と繰り返したのは、この急性障害を引き起こすような線量ではないということでしょう。
 100~250mSv以下の低線量被ばくは、すぐに目に見える形で健康被害が出るわけではありません。だからといって安全なのではなく、被ばく後、数年~数十年たってから、がんをはじめとしたさまざまな病気になる危険性があるのです。これを晩発障害といいます。
 アメリカの原爆障害調査委員会(ABCC)が始め、その後、放射線影響研究所が引き継いだ広島原爆被爆生存者約9万人に行った生涯追跡調査によると、がんの他に、心疾患、脳血管疾患、消化器疾患、呼吸器疾患も増加することが明らかになっています。この人たちの平均被ばく量は200mSvですが、半数以上は50mSv以下です。とくに、がんの死亡率は被ばく線量が多いほど増加しますが、この線量以下ならば被ばくしても害はないという「しきい値」は見つかっていません。
広島・長崎の被爆者追跡調査は世界でも信頼性の高い研究として評価されており、国際放射線防護員会(ICRP)もこの調査結果に基づいて「発がんには『しきい値』はない」という勧告を出しています。また、米国科学アカデミー(BEIR VII)、国連科学委員会(UNSCEAR)、欧州放射線リスク委員会(ECRR)も、低線量被ばくの「しきい値なし直線説」を採用しています。それなのに、日本の医療者の中にはABCCの調査結果を無視するような発言をする人がいるのです。もしも「100mSvで害がない」というなら、この調査を上回るしっかりとした科学的根拠を示すべきだと思います。

 ――1986年のチェルノブイリ原発事故のあとで、子どもの甲状腺がんが増えたと聞くのでとても心配です。どれくらいの割合で増えたのでしょうか。

  チェルノブイリ原発の事故が起こる前までは、ベラルーシ共和国では小児の甲状腺がんは年間数人でした。ところが、事故の4年後の1990年には15歳未満の子どもの30人程度に甲状腺がんが見られるようになり、1995年には90人近くまで増えています。これは原発事故の影響といって間違いないでしょう。

 ――被ばくをすると、なぜ、がんになるリスクが増すのでしょうか。

  がんは遺伝子の異常によって起こる病気で、複数の遺伝子の変化が積み重なってできるものです。がんが高齢者に多い病気なのは、長く生きている間に環境中にある化学物質、放射線などによる変異が蓄積するからで、環境中に放射能が増大すると、その変異を促進すると考えられています。
 人間の身体は約60兆個の細胞によってできており、細胞は日々生まれ変わっています。ひとつひとつの細胞には身体の設計図となるDNAがあり、細胞が分裂するときは設計図通りに複製されて新しい細胞に伝えられます。放射線を浴びると、このDNAに傷がつきます。細胞はDANの損傷を修復しようとしますが、複雑な損傷で、数が多くなると修復できなくなります。
 1999年に東海村で起きたJCO臨界事故では、作業員の方が1万7000~2万mSvもの高線量の被ばくをし、修復不可能なほどDNAに損傷を受けました。本質的な治療は切断されたDNAを正しくつなぎ合わせることですが、そのようなことはできるはずもありません。被ばくの当初はほとんど異常がないように見えましたが、細胞が入れ替わる時期から皮膚がむけおち、腸管からの下血、感染症が始まりました。そして、最新の治療を受けましたが、83日後に亡くなりました。主治医は「医療の限界を痛感した」と言っています。
低線量の被ばくでも、本質的に細胞に与える損傷のメカニズムは同じで、身体の設計図であるDNAに傷をつけてしまうということです。年間被ばく量1mSvということは、1年かけて全身の細胞のDNAに平均して1本の放射線が通るということを意味します。そのときにできた傷が正しく修復できないと、異変をもったままDNAが複製され、次の細胞に受け継がれていくことで、将来的にがんを発症する可能性がでてきます。20mSvの被ばくだと平均20本の放射線が通ることになり、それだけDNAが損傷されて異変の可能性が高まり、発がんのリスクも高まることになります。
 さらに、放射線被ばくの影響は、がんだけではなく、さまざまな病気の発症にかかわっているという研究データもあります。

 セシウムの高線量地域では子どもに高血圧、糖尿病、白内障などの症状が見られる

――被ばくによる障害は、がんのほかに、どのようなものがあるのでしょうか。

  1997年にベラルーシ共和国のゴメリ州で、10歳までに死亡した子ども52人を病理解剖して、セシウム137の臓器別蓄積量を調べた研究論文があります。(Bandazbervsky Y.I. Swiss Med Wkly 133,2003)

  日本の専門家の中には「セシウムは骨格筋にしか蓄積されない」という人もいるのですが、この論文によると、骨格筋より甲状腺に圧倒的に高いセシウムが蓄積されています。その他、副腎、膵臓、胸腺にも高線量のセシウムが蓄積されていますが、これらはすべて身体の成長や代謝に重要な働きする内分泌系です。ここに高線量のセシウムが貯まると、ホルモン分泌も悪くなったりして、成長を妨げることになります。そのため、なかなか身体が大きくならなかったり、虚弱体質の子どもが増えたそうです。ゴメリ州には糖尿病の子どもも多いのですが、膵臓にセシウムが蓄積することで、インシュリンの分泌に影響を与えていることも考えられます。
 内分泌系以外にも、小腸、大腸、腎臓、脾臓、心臓、肺、脳、肝臓にもセシウムは蓄積しており、呼吸器疾患や消化器疾患を繰り返したり、脳神経疾患、先天異常、白内障などもあるそうです。また、高血圧、低血圧、心電図の異常など心臓血管系の疾患が多いという調査結果もあり、まるで高齢者のような病気を患う子どもがいることにも驚きます。脾臓などの免疫系にも蓄積が見られるので、免疫機能が低下し、感染症を起こして病気になりやすくなります。疲れやすく、ひとりで2つ以上の病気を抱えている子どもが多いのも特徴です。以前は全体の80~90%の子どもが健康だったのに、チェルノブイリ原発事故以降は20%程度しか健康な子どもがいなくなったということです。
 放射性セシウムは、カリウムやナトリウムと似た性質なので、これらが蓄積する器官にはセシウムも蓄積しやすいという考えもありますが、こうした病気が出る原因はまだはっきりとは分かっていません。しかし、チェルノブイリの今は、25年後のフクシマの姿です。私たちはチェルノブイリから多くを学び、子どもたちの健康を守るための努力をしなければならないと思います。

 ――被ばくの影響を少しでも取り除くにはどうすればいいでしょうか。

  放射線の強さが半分に減少するまでの期間(半減期)は、それぞれの放射性物質によって異なります。たとえば、プルトニウム239は2万4100年ですから、呼吸などによって取り込まれると、一生、体内で放射線を出し続けることになり非常に危険です。しかし、セシウム137の物理的半減期は30.2年で、人間の身体の中で実際に減少していく生物学的半減期は100~110日です。さらに、新陳代謝の活発な乳児は、大人の5分の1の期間で放射線量が減少していきます。
 ベラルーシで、汚染のない環境に子どもを移して、汚染されていない食べ物を与えて、体内のセシウムの量を測定したデータがあります。この時、同時にりんごの乾燥粉末(15~16%のアップルペクチンを含む)5gを、1日2回、服用させているのですが、3週間後には体内のセシウムが62.6%減少しています。
 福島のお子さんも汚染のない環境に移住できるのが理想ですが、それが難しい場合は夏休みだけでもいいので、汚染のない地域にいる親戚やボランティア団体が開催しているサマーキャンプなどのところに行かせられるといいと思います。
 チェルノブイリ原発事故によるセシウムの汚染が高い地域で、肉(牛肉、豚肉、羊肉)、きのこ類、ベリー類、牛乳を摂っている人は、これらをまったく摂っていない人に比べて、体内汚染の値が約3倍も高いという研究があります。ロシアとは食文化が違うので、これをそのまま日本に当てはめることはできませんが、肉類や牛乳、きのこ類などを食べるときは汚染がないかどうか注意することが必要だと思います。
 体内被ばくを避けるためには、できるだけ放射能で汚染された食品を食べないようにするしかありませんから、国や行政は食品の放射能測定をもっときめ細かく行うべきだと思います。チェルノブイリ原発事故のときは、放射能汚染の高い地域には汚染されていない食品を送って、優先的に食べてもらおうという運動がありました。日本の一部でも、そのような運動が起こっています。

 ――福島第一原発の事故のあと、「ヨウ素剤は副作用があるので飲まないように」と発言をした専門家もいましたが、ヨウ素剤はそれほど副作用の大きな薬なのでしょうか。

  放射性ヨウ素が体内に入る前から直後までにヨウ素剤を飲めば、甲状腺に入る放射性ヨウ素の93%を抑えられます。しかし、6時間後の服用では10%に減少してしまうので、ヨウ素剤は事故が起きたらすぐに服用することが大切です。
 万一の事故に備えて、フランスやドイツ、ベルギーなどでは、原発の周囲5km以内には各家庭にヨウ素剤が事前に配布されています。ところが、日本の原子力安全委員会のヨウ素剤検討会では、「誤った服用による副作用をさけるために家庭配布はしない」と決めたのです。
 しかし、ヨウ素剤には副作用はなく、チェルノブイリ原発事故のとき、ポーランドでは1050万人がヨウ素剤を服用しましたが、副作用の報告はされていません。日本でも家庭配布していて、爆発後すぐにヨウ素剤を服用していれば、もっと被ばくを避けられたかもしれないと思うと、とても残念です。ただし、飲み過ぎると甲状腺機能を抑えてしまうので、続けて服用するのは避けてください。飲み過ぎた場合は、服用を止めれば元に戻ります。
 こんなにも苛酷な事故が起きたというのに、今だに原発が稼動している地域があります。万一の事故に備えて、ヨウ素剤の配布のあり方は早急に見直すべきだと思います。
http://diamond.jp/articles/-/13135 ダイヤモンドオンライン 特別レポート


 「誰かの健康を害してしか成り立たぬような文化生活であるのならば、その文化生活をこそ問い直さねばならぬ」、とは1974年に上梓された『暗闇の思想を』(松下竜一著)の中の言葉です。

この本は、著者の松下竜一氏を中心とする地域住民が、九州北部の瀬戸内海に面する周防灘沿岸を埋立て、一大コンビナートを建設しようとする国策の中核となる電力供給基地・豊前火力発電所の建設に反対し、弁護士をつけない本人訴訟という前代未聞の方法で環境権を訴えた裁判を起こすまでの、その発端からの過程を記録したものです。

裁判には負けたとはいえ、この豊前環境権裁判は、伊達火力発電所建設差し止めを訴えた伊達環境権裁判とともに、日本に「環境権」という概念を確立するために大きな役割を果たしました。

3.11後からずっと気になっていたこの『暗闇の思想を』を、今回「松下竜一その仕事」という松下氏の全集で再読しました。今を撃つ言葉が、37年を経てもなお褪色するどころか、さらに輝きを増して胸に迫ってきます。

・・・郷土の花を、川を海を山を詠い描きながら、それが破壊されようとする時、闘いの戦列に加わらぬ詩歌人や画家は、いかに作品が美しかろうとニセ者だ。もし今、私たちが沈黙していて周防灘開発を許したなら、公害は幾年かののちの子や孫を苦しめるのである。その時の子や孫にとって、今一見やさしく沈黙して見過ごした父母がやさしかったのか、今一度荒々しく激しく闘ってこれを撃退した父母がやさしかったのか、・・・。(『暗闇の思想を』「第一章始まり~匿名氏よ」より)

 ・・・豊前市議会はほとんど全員一致で賛成した。だが豊前市民は、豊前火力問題を想定して市議を選任したわけではないのだ。彼らに火電賛否の票を預けたわけではない。彼らが火電問題を討議するに十分な知識を有しているとも、市民は信じていない。まして市議の大半は開発に利益関係の深い土建業者で占められているのであってみれば、とうてい一般市民の『声』の代弁者とは呼べまい(同「第三章冬から春へ~暗い冬」より) 

・・・豊前火力に賛成する市民の多くは、むしろ己を良識派だと信じているらしいのだが、それはつまり単なる地域エゴを突き抜けて、『国の発展』を考える大義に立脚しての判断をくだしているのだという自負から発しているのだろう。そこには『国の発展』は疑いもなくいいことなのだという絶対的信奉があり、『国の発展』のためには電力需要急増は必須であり、ゆえに良識的大義に立つほど豊前火力に賛成するのは当然という論理になるのである。(同「第四章論理を模索する旅へ~舌で味わってほしい」より)

珠玉のような言葉やエピソードなど、紹介したい文章は枚挙に暇がないほどですが、あえて厳しい指摘の部分だけを、それも数例だけ書き写してみました。
そしてこの記録は、「ぼくらは、建つ前も反対だったし、建ち始めても反対だし、煙を吐き始めても反対するのです」(同後記より)という伊達火力発電所反対運動の中心だった医師、斉藤稔さんの言葉で結ばれています。

ついでながら最後にもう一つ、この『暗闇の思想を』が掲載された号の解説(「資本主義の彼岸へ」山口泉著)に引用された文章を。

「大量消費時代がもてはやされた。技術というものを真面目に考えない、しかも目先の利潤のための技術ばかりがのさばって、人間がひどい目にあう。そこで、なにかというと、許容量ということばで正当化しようとする。許容量という概念は、だいたいが人権を基本にしなければならないものである。それを利潤を基本にした概念に変えてしまっている。
基本的に、なんで自分はそんなひどい目にあわなければならないのか、なんで光化学スモッグなんか吸わねばならないのかという問題、これが人権、人間の権利である。
それに対して、この程度なら安全だとか、この程度なら害はないというようなことを平気で言う。それに許容量という概念を使う。」(武谷三男『市民の論理と科学』より)

これは1975年に書かれたもので、光化学スモッグを放射能に変えれば、全く今!です。
それでは皆様、くれぐれもご自愛を、切に!

 

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100ヶ日を経て

 3.11から3ヶ月、そして100日が過ぎ、今更ながら時の経つその速さを感じざるを得ません。
 この間、メディア等が伝える被災地の現状は、個々の被災者やそれぞれの地域、というふうに細部に向かうにつれその困難さの度合いも、様々な形を取りながら少しずつ顕わになってきているようです。明るいニュースも無いわけではないのですが、福島原発のますます深刻化していく情況を前にすれば、憂鬱な気分が晴れるはずもありません。
 このサイトに似つかわしくない事は重々承知の上で、今回もまた震災と原発事故のことに触れたいと思います。

 気になる数字がありました。
先月5月の自殺者の数が、3281人と前年同月比で17.9%の大幅増に転じたというものです。
<ビデオニュース・ドットコム>
http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/001925.php


 5月の自殺者数が去年の同じ月より約18%増え2年2カ月ぶりに3000人を超えていたことが、7日に発表された警察庁のまとめでわかった。3月に東日本大震災が発生して以来、2カ月連続で増加しており、震災の影響が懸念されている。<中略>
 災害心理学が専門の広瀬弘忠東京女子大学名誉教授は、震災の影響を直接受けていない首都圏や大都市圏で自殺者が増えていることについて、大都市では元々抑うつ感を持つ人が多く、その人たちが被災地や被災者の様子をメディアを通して見ることで、擬似被災した結果が出ているのではないかと分析する。
 広瀬氏はまた、過去の震災のデータが、仮設住宅への移住などが進み、被災者の災害状況が落ち着き始める半年から1年後に自殺者が増える傾向を示していることに注意を喚起し、被災者が家族や親しい人たちと一緒に住める場所を提供することが、自殺を防ぐために重要になると指摘する。
<後略>

この番組では、08年1月以降、月別自殺者が3000人を超えた月を示しながら議論が進められています。ちなみに上位5位までは以下のとおりです。(動画で視聴可能)

①2011年5月 3281人
②2009年3月 3103人 リーマン・ショック時の年度末
③2008年10月 3092人 リーマン・ブラザーズ破産翌月
④2009年4月 3066人 リーマン・ショック翌年度の初月
⑤2009年5月 3033人 リーマン・ショック翌年の二月目

 辛くて厳しい現実です。
 その後も、震災のストレスに伴うアルコール依存症のことや、知的障害者の「災害関連死」、そして酪農家の自殺など、震災の厳しさを物語るニュースが後を絶ちません。また、生活保護受給者が200万人を突破し、戦後の混乱期並みだというニュースもありました。

被災者のアルコール依存が深刻 Yahooニュース 2011年5月29日
<東日本大震災>懸念高まる飲酒依存 生活激変でストレス
 避難所での生活が長期化する中、被災者の飲酒を巡るトラブルが起きている。
95年の阪神大震災では、家や仕事を失った被災者がアルコール依存症に陥るケースが多数報告された。今後、仮設住宅への入居が進むとともに、周囲からの孤立化が酒への依存を高める懸念もある。専門家は「新たな依存症者を出さないための継続的なケアが必要」と指摘している。
(後略)

震災ストレス? 飲酒運転事故倍増 半数が被災地周辺在住 河北新報 2011年06月03日
 宮城県内で3月11日の東日本大震災の発生後から、5月末までに起きた飲酒運転による事故は18件で、前年同期(10件)に比べほぼ倍増していることが、宮城県警の調べで分かった。 原因について、竹内直人県警本部長は2日の県災害対策本部会議で「大震災のストレスで飲酒の頻度や量が増えているのではないか」と語った。(後略)

原発さえなければ…酪農家が自殺 読売新聞 2011年06月14日
 福島第一原発の事故で、牛を処分して廃業した福島県相馬市の酪農家男性(50歳代)が「原発さえなければ」と書き残して自殺していたことが13日、わかった。(後略)

東日本大震災:知的障害者、相次ぐ急死 避難先で発作など 苦痛、伝えにくく
◇震災後に環境一変
 毎日新聞 2011年6月17日
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で避難した高齢者らが慣れない避難先で死亡する「災害関連死」が問題化する中、原発周辺の入所施設から避難した知的障害者の死亡が相次いでいる。毎日新聞の調べでは少なくとも11~67歳の男女4人が死亡し、中には津波で夫が行方不明となった妻が知的障害者の長男を災害関連死で失うケースもあった。専門家は「知的障害者は苦痛を伝えにくい上、多くは持病などを抱え、長時間の移動や環境の変化が致命的影響を与える場合もある」と警鐘を鳴らす。(後略)

生活保護200万人突破…戦後混乱期並みに 読売新聞 2011年6月14日
 今年3月末現在の全国の生活保護受給者は202万2333人で、戦後混乱期の1952年度以来、59年ぶりに200万人を突破したことが14日、厚生労働省の発表で分かった。
 統計を取り始めた51年度(204万6646人)、52年度(204万2550人=いずれも月平均)に次ぎ3番目に多い。受給世帯数も145万8583世帯で過去最多を更新。東日本大震災で被災するなどで4月末までに新たに生活保護を受けることが決まった世帯が、全国で549に上ったことも分かった。

 そして、今なお深刻な事態が続いている原発事故です。
 放射能汚染の広がりは、今やマスコミも無視できず盛んに報じています。特に子どもたちへの被害はどうなのか、東京新聞が、郡山市の子どもたちの体調異変を報じ、ネット上では、深刻な現実が報告されています。一例のみ紹介します。

東京新聞こちら特報部②-1 2011年6月16日
http://savechild.net/wp-content/uploads/2011/06/69cb3242585ab77658440e1db09d4671.jpg

 ジャーナリスト木下黄太のブログ「福島第一原発を考えます」
≪緊急事態≫喉、鼻、眼、皮膚、下痢、だるい等、異常の有無を周りの人と直ちに話して下さい。http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/be09a6be7e8bf1fa0c2e4d96f66faf07

  チェルノブイリ原発事故を経験した私たち(=人類)は、事故後の実際を今、例えばインターネットを通じて知ることができます。特に子どもたちのありようには胸ふさがれる思いを禁じえません。福島に限らず、今回の事故で被ばくの可能性のある子どもたちの、これからを思うときもまた・・・。

(例)チェルノブイリ事故後急増した小児甲状腺ガン・白血病【福島の未来】
チェルノブイリ小児病棟 ~5年目の報告~(58分)
http://www.youtube.com/watch?v=MUyn9uDCKZU&feature=player_embedded

放射能地図(改訂版)
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-397.html

 さて、肝心の原発トラブルはどうでしょうか?
 1~3号機でメルトダウンしドロドロになった核燃料を冷却するために、その後処理を考える事もなく注水が続けられ、その高濃度に汚染された水が外にあふれ出すのを防ぐために、切り札の如く発表され報じられた「高濃度放射能汚染水浄化システム」なるものが設置されたのですが、開始したとたんに機器の不具合で再三の停止を余儀なくされるなど、そこには、こうした事態そのものが人類未経験の試練だとして“想定外”とのニュアンスも感じられ、責任を負わないという予防線が張られているような気がしないでもありません。

  しかし、すでに事態は、このシステムが機能しても意味を成さないところまで進んでいるようです。
 冷却材(この場合水)がなくなった状態では、溶融した核燃料は2800℃に達し、厚さが15~16cmもあるといわれる鋼鉄製の圧力容器も、鋼鉄の融点が1600℃らしいので、底に落ちた燃料体は当然それを溶かします。そして圧力容器を包む格納容器も、厚さ約3.8cmの鋼鉄製。しかも1~3号機の核燃料を合わせれば100トンともいわれる物凄い量です。

 これだけの量のものが、さらに地下構造物のコンクリートを溶かして地下水にまで達し、ついには海洋を汚染するという、文字通り人類が初めて経験するような、未曾有の事態を招こうとしているのではないか。メルトスルーというまさしく非常事態です。
 こうした事態を、テレビ朝日モーニングバードという番組が、京大原子炉実験所の小出裕章さん、日大生物資源科学部の小澤祥司さんらのコメントを挟みながら、わかりやすく報じています。
原発震災:小出裕章:原子炉の現状/残された対応策/故郷
http://www.youtube.com/watch?v=fjklBl0A9Kc&feature=player_embedded

 それにしても、と思います。
 溶融した核燃料は2800℃。圧力容器、格納容器は共に鋼鉄製で、その融点は1600℃。つまり、メルトダウンすれば閉じ込め機能などいっぺんに吹き飛んでしまいます。
 素人目からすれば、バカバカしいほどにわかりやすい原発の矛盾です。
やはり、「由らしむべし、知らしむべからず」だったのでしょうか。「止める、冷やす、閉じ込める」、そして5重の壁などと力説して絶対安全を声高に叫び、メルトダウンなど起こらないものとして“想定外”に追いやられていたのでしょう。

 また、原発はトイレの無いマンションといわれ、運転によって産み出される核廃棄物の処分は未解決のまま、10万年とも100万とも言われる未来にまで管理を続けざるを得ないという、まさしく無責任なシロモノです。
 この後始末を考えることなく開発されたその理由は、後始末を考える必要の無い使用法、つまり武器、核爆弾だということに思い至ります。生命を奪い破壊しつくす事がその使命であり、爆発することで完結します。
 原子力=核=Nuclearの本質なのでしょうね。核の平和利用を言うなら、少なくとも安全かつ万全な処理の方法が見つかって初めて議論の対象にすべきだと思います。
 とにもかくにも一刻も早い事故の収束と、全原発の廃炉を心から祈りたいと思います。

 

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続・原発のこと

 ここ数日、北九州は黄砂に包まれ、紗幕を掛けたような、焦点が結びづらい景観が続きました。もちろんこれまでも、汚染物質等の心配もあって迷惑千万と気にしてはいたのですが、3.11を経て見るこの薄汚れて茫漠とした風景は、終末の気配さえ漂う不気味さを覚えて、いささか慄然としてしまいます。

黄砂、4日ごろまで続く見込み 「心配ならマスクを」 asahi.com 2011年5月3日
 九州を中心に前日に続いて黄砂が舞った2日、福岡県北九州市内でも小倉の市街地から東に見える山が白くかすんだ。
 福岡管区気象台によると、北九州市内には観測地点は設けられていないが、通常10キロ以上ある視界が福岡市で4キロ、下関市で5キロ(午後3時現在)になった。北九州市若松区のタクシー運転手の男性は黄砂で汚れた車を2回洗ったという。「普段は1日1回するかしないかという程度なのに」と話していた。
 九州大応用力学研究所(春日市)の竹村俊彦准教授(気象学)によると、黄砂の実態はよく分かっていないが、ぜんそくなど呼吸器系の疾患に影響を及ぼす可能性も指摘されており、環境省は2002年から黄砂の物理的、科学的な性質についての解明調査を続けている。竹村准教授は「心配であればマスクを着用するなどの対応を取っても良いのでは」と話している。
 黄砂の飛来は3~5月ごろに多い。同気象台によると、福岡県内のこの10年の年間飛来日数は、多い年で30日にのぼった。今年は2日の飛来で3日を数えた。4日ごろまで続く見込みだが、量は徐々に少なくなるとみている。(小田健司)
http://mytown.asahi.com/areanews/fukuoka/SEB201105020044.html

 

黄砂に関する福岡県気象情報 第1号
平成23年5月1日10時34分 福岡管区気象台発表
http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/346_02_807_20110501013650.html

東アジア域の黄砂・大気汚染物質分布予測 九州大学/国立環境研究所
http://www-cfors.nies.go.jp/~cfors/index-j.html

 黄砂汚染の地図
黄砂の成分分析に関する近年の研究から 中国をはじめとした核保有国が行った核実験による放射能(放射性物質:死の灰)や おもに中国で発生した有害汚染物質が含まれていることが判明してい」るのだそうです。
http://emigration-atlas.net/environment/china-dust-sand-storm.html

※中国大気圏核実験の風下地帯を描く動画です。ご参考までに。
中国の放射能汚染(29分)
http://www.youtube.com/watch?v=CoN8kxUtrdc&playnext=1&list=PL99FAE39E37B0C1F9


 さて、原発です。
東京電力や、原子力安全・保安院、そして両者を含めた政府、原子力安全委員会など関係機関で組織された福島原子力発電所事故対策統合本部の記者会見や官房長官の会見を見ながら、どうしても隔靴掻痒、イライラ感が募るのを禁じえません。

一つには、官房長官や統合本部事務局長という政治家の語る言葉の論拠が、どこからもたらされているものなのか、こんな時だからこそ原発の危険性を指摘し、その在り様を批判してきた専門家の意見こそ有効性を持つものとして耳を傾けるべきだと思うのですが、そのような様子は全く見えないこと。

つまりは安全だ安全だと原発を推進し、今回の事故を想定外として考慮だにしなかった人たちの意見が、法律に則ってという形でこうした事態を迎えた今もなお、国側の主張となっているのではないかという基本的な懐疑が、不信感を拭えない根拠のような気がします。

そして、政権を守る、会社を守る、立場を守るといった、文字通りの自己保身が、ほとんど無自覚なままで表出されているように感じられる、感じられてしまう、ということだと思います。

こうしたことが、意図するしないに関わらず結果的に情報隠しとして、国民の不信感を募らせることになってしまっているのではないか。そんな折、見事に的を得たコラムを読みました。一連の国や東電の対応、そして論拠を与える学者・専門家の、産官学のもたれあうような構造が、水俣病など過去の事例をあげ何一つ変わっていないとして、今度こそ国民一人一人が自らの胸に問い、答えを出し、そして行動を起こさねばならないと述べられています。全文を掲載します。

記者の目:福島第1原発事故と産業優先=福岡賢正(西部報道部)
http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20110503ddm004070002000c.html

 ◇繰り返された水俣病の構図
 東京電力福島第1原発で進行中の危機に、私は既視感を覚えている。経済成長を追い求め、産業の利益を最優先する国策の下で、その意思を代弁する学者の意見だけに政治が耳を傾け続けた結果、この国は取り返しのつかない被害を何度も生じさせてきたからだ。その連鎖を止めない限り、再び悲劇が起きるだろう。
 日本原子力学会の元会長や原子力安全委員会の元委員など原子力を先頭に立って推進した学者16人が連名で3月末、「緊急建言」をまとめた。4月1日に行った会見で彼らは、福島の原子炉内に蓄えられている放射性物質の量はチェルノブイリをはるかに上回ることを指摘し、たとえ危機を脱しても極めて長い歳月、厳重な管理を続ける必要があると語った。反原発側ではなく、推進側の学者がようやく、現状の深刻さを認めた。

 ◇14年前の警告、班目氏らは無視
 今回のような大地震・大津波による原発事故を、地震学者の石橋克彦・神戸大名誉教授が「原発震災」と名付け14年前に論文で警告していたことを、3月29日にコラム「発信箱」で書いた。
 その石橋論文に対し、現在の原子力安全委員長である班目(まだらめ)春樹氏や今回の事故発生5日後に内閣参与に任じられた小佐古敏荘(こさことしそう)・東大大学院教授(4月30日内閣参与辞任)が当時、どんな見解を示していたのか。石橋氏が雑誌「世界」5月号に書いている。
 班目氏はあらゆる懸念を打ち消した上で「石橋氏は原子力学会では聞いたことがない人である」と素人扱いした。小佐古氏も「多量な放射能の外部放出は全く起こり得ない」とし、「論文掲載にあたって学者は、専門的でない項目には慎重になるのが普通である。石橋論文は、明らかに自らの専門外の事項についても論拠なく言及している」と批判したという。
 国の施策遂行にあたって、都合のよい学者の意見を「お墨付き」にして、不都合な他の意見を封じ込めてしまった例は過去にいくらでもある。
 水俣病では、1956年に熊本大の研究班が水俣湾の魚介類に蓄積された重金属による中毒と指摘し、59年には厚生省(当時)の研究部会も魚介類の有機水銀が原因と報告した。しかし、国は腐った魚原因説などを発表した学者の見解を盾に公害と認めず、その後もチッソのアセトアルデヒド工場からの廃液の垂れ流しが放置された。その結果、湾周辺の人々は汚染された魚を食べ続け、膨大な数の新しい患者が生まれ続けた。65年には新潟にあった昭和電工の同型工場の廃水による「第二水俣病」も見つかった。
 国は68年9月の政府見解で、この公害の原因を有機水銀と正式に認めたが、その4カ月前までに、技術革新によって国内の同型工場はすべて生産を終えていた。公害と認定されたのは、産業界にとって用済みとなった後だった。
 アスベスト問題でも、被害の拡大が明らかになった後、環境省が設けた健康被害問題検討会の座長に就いた学者が、日本石綿協会の顧問を13年間務め、PRビデオで石綿規制に疑問を呈していた事実が発覚し、座長を辞めている。
 長良川河口堰(ぜき)や諫早湾干拓事業などの大型公共事業が、「環境に与える影響は軽微」との学者の見立てを口実に推進され、深刻な環境破壊を招いたのも記憶に新しい。
 そんな産官学の癒着の果てに、私たちは今、福島の事態に直面している。

 ◇「お上任せ」脱し、自ら考え行動を
 公開された福島第1原発の水位や圧力のデータから、元原子炉製造技術者でサイエンスライターの田中三彦氏は、1号機では激しい地震動によって原子炉圧力容器の配管が破損して冷却材喪失が起きた可能性を「世界」5月号で指摘している。同様に2号機についても、圧力容器内で発生した水素が、空気より軽いのに原子炉建屋の最下部にある圧力抑制プール近くにたまって爆発した理由として、水素が圧力調整用の配管を伝ってプールに流れ込み、地震でプールに生じた亀裂から外に漏れて周辺の酸素と反応した--と推論している。
 つまり、津波の前に原子炉は地震によって深刻なダメージを受けていたというのだ。こうした点の検証も行われていないのに、産業界などからは早くも「津波対策を万全にすれば日本の原発は安全」との声が漏れ始めている。
 このまま原発に依存し続けるのか。リスクの高い原子炉から順に廃止するのか。一気に全廃を目指すのか。廃止に伴う不便は甘受できるのか。今度こそ国民一人一人が自らの胸に問い、答えを出し、そして行動を起こさねばならない。「お上任せ」がいかに危ういか、私たちはもう十分に学んだはずだ。
毎日新聞 2011年5月3日 

※地震学者の石橋克彦神戸大名誉教授の「原発震災」をはじめ、今回の震災についてご石橋教授ご自身のHPにアップされています。ぜひご一読下さい。
http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/2011touhoku.html
※サイエンスライター田中三彦氏による冷却材喪失に言及されている動画
INsideOUT4/27(水)「福島原発事故 隠された真実を暴く!」(29分)
http://www.youtube.com/watch?v=PqVsvaNVNYg&feature=player_embedded

一方で、経済人の中から原発について明確なメッセージが語られ始めています。
自らの言葉で語るということの潔さ、清々しさ、それはやはり胸を打つものです。
すでに旧聞に属することかもしれませんが、勇気を得ることのできる発言だと思います。

 自由報道協会主催 孫正義記者会見 原発について熱く語る(動画1時間46分)
http://www.ustream.tv/recorded/14195781#utm_campaigne=synclickback&source=deniedbyhost&medium=14195781

城南信用金庫が脱原発宣言〜理事長メッセージ(動画6分46秒)
http://www.youtube.com/watch?v=CeUoVA1Cn-A&feature=youtu.be

 すっかり原発モードになった当サイトですが、久しぶりに「小梅姐さん」がらみのニュースです。
監督の山本眸古の講演です。

西南大学英文学科主催 2011(平成23)年度講演会
映像ドキュメンタリーの世界(仮)
映像文化に興味のある西南の学生、必聴の講演会!
日時:2011(平成23)年5月24日(火)17時00分~18時30分
場所:西南学院大学2号館2階 2-201教室

 

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原発のこと

またしても原発のことで恐縮です。

チェルノブイリ原発事故と同クラスのレベル7という、最大級の事故評価が今月12日に出されました。しかし、17日には事故収束に向けた工程表が東京電力から発表され、6~9ヶ月で安定した状態を取り戻す旨の見通しが示されました。

四十九日も済み、この工程表が発表された事で、当初と比べればマスメディアの扱いも少なくなり、事故の被災地も福島1県のみといった印象が感じられます。

だが実際はどうなのか。
いろいろと情報を注視しながら、興味深かった動画などをご紹介したいと思います。

まず、3年前に放送された50分のドキュメンタリー番組です。

原子力に期待してこの道を選び、実際に研究を始めてその危険性や胡散臭さに気づいた研究者たちの記録です。安全・推進一辺倒のなかで、あえて原発のネガティブな側面を明らかにして警鐘を鳴らし続けるその生き様には、敬意を表せざるをえません。(50分)

なぜ警告を続けるのか〜京大原子炉実験所・”異端”の研究者たち〜
http://video.google.com/videoplay?docid=2967840354475600719#

次は、上記のドキュメンタリーで取り上げられているお一人、小出裕章さんの、3月20日に山口県で行われた講演です。その真摯で誠実な佇まいとデータを駆使した論理的なお話は、強い説得力を持って聞くものに迫ります。(1時間45分)

【大切な人に伝えてください】小出裕章さん『隠される原子力』
http://www.youtube.com/watch?v=4gFxKiOGSDk&feature=player_embedded

なお、小出さんは、毎日放送ラジオ「Radio News『たね蒔きジャーナル』」という番組のインタビューで、時々刻々変化する事故状況の推移について語られており、その模様はユーチューブにアップされいつでも聞くことが出来ます。
http://www.youtube.com/watch?v=QfMsauUspfI&feature=player_embedded

また、23日(土)には、「愛川欽也パックインジャーナル」に電話出演、現状を語られました。

愛川欽也パックインジャーナル4/23(土)「原発事故20キロ以内封鎖」
http://www.youtube.com/watch?v=Wmv-brxh-Uw&feature=player_embedded

”異端”の研究者のもう一人、今中哲治さんは、3月28、29の両日、飯館村の130地点で空気中や土壌で放射線量を測定。その衝撃的な結果を発表されました。

原発震災から子どもたちを守れ!~専門家・市民による独立放射能汚染調査報告と要請~http://www.ustream.tv/recorded/13964934
(動画中39分ごろから今中さんの報告が始まります)

飯館村「人が住めるレベルではない」 京大助教らが現地調査(04/14 北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/dogai/285811.html


ところで今、国・文部科学省は、原発労働者の年間の許容被曝量と同じ、20ミリシーベルトという放射線量の基準を、校庭など、幼稚園や学校の屋外で子供が活動する際の基準として福島県に提示しました。信じ難い話です。

校庭活動に放射線基準…文科省、福島県に提示へ(4月10日 読売新聞)

文部科学省は、校庭など、幼稚園や学校の屋外で子供が活動する際の放射線量の基準を近く福島県に示す方針を固めた。
 同県内では、一部の学校で比較的高い濃度の放射線量や放射性物質が検出されており、体育など屋外活動の実施可否について早期に基準を示す必要があると判断した。

 同省などによると、基準は、児童生徒の年間被曝許容量を20ミリ・シーベルト(2万マイクロ・シーベルト)として、一般的な校庭の使用時間などを勘案して算定する方針。原子力安全委員会の助言を得た上で、大気中の線量基準などを同県に示す。基準を超えた場合、校庭を使用禁止にし、授業を屋内だけに限るなどの措置をとる案も出ている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110409-OYT1T00912.htm

このことについて、住民が撤回するよう関係当局(文部科学省、内閣府原子力安全委員会)の担当者と交渉を行った様子がアップされています。一見に如かず、まさしく信じ難い様子が展開されます。

子どもの安全基準、根拠不透明〜市民の追及で明らかに(前編)
http://www.youtube.com/watch?v=jnOD55uLA7c&playnext=1&list=PL786E4F5C0019DABC

子どもの安全基準、根拠不透明〜市民の追及で明らかに(後編)
http://www.youtube.com/watch?v=DUhlamqSQXg&playnext=1&list=PL38AC6038BCB165B7


そして、こんな記事がありました。

ロシア科学者が警告。今後50年間に40万人のガン患者が、東電福島原発の半径200kmで発生の可能性(Japan Today 4月18th, 2011)

Japan Today によると、ロシアのChris Busby (欧州放射能リスク委員会メンバー)は、日本の文科省などが公表しているデータを元に推計すると、今後50年間に福島第一原発から半径200km圏内で40万人規模のガン患者が発生する可能性があると分析している。200kmだと首都圏も含まれる。(by Alexey V Yablokov)

 筆者のYablokov氏は、同教授の試算は、今回の事故で放射能で土壌汚染が起きたことによる健康への影響を分析したもの。教授は、この推計値は、影響を最小化する政府の戦略次第で、それよりも低くも、高くもなり得るとしている。ただ、過小評価するのは、過大評価することよりも、より一層危険だと警告している。
チェルノブイリ事故の経験から明らかなことは、元の生活に早急に戻ろうとすることは不可能で、「ポストFukushima」の現実を受け入れる必要があるとしている。必要となる主要な対策として以下の項目を提言している。

1. 避難地域を少なくとも50km圏に拡大すること

2.食
品の追加的蓄積を避ける間、個人の健康を保護するための対策を講じるべきだ。具体的には、圏内のすべての人に対して、すべての放射性物質の被爆の状況を、少なくとも週一回のペースで定期的に計測する。人体を保護するため放射能防護の装置や装備を配備する。食品への放射能物質の多くの添加がある。

3.土壌汚染地域での安全農業のための対応策を立案すること。牛乳の再処理、肉の放射能浄化、バイオフエルなどを活用した農業の転換。これら放射能抵抗を備えた農業への展開は費用がかかるので、補助金を付ける必要がある(通常の農業よりも30~40%費用増の可能性)

4.医療体制の全面改革。新たな医療センターの成立が必要だ。放射能汚染によって被爆した人あるいは、長期の影響が懸念される人々を診察し、ケアする体制の確立。遺伝子検査をする医療コンサルも含む。

5.チェルノブイリからの教訓として得られるもっとも効果的な方法は、汚染地域での生活復興を支援するために、特別の省庁横断的組織を設立することだ。新組織は、省レベルでも、委員会レベルでもいい。汚染地域で起きる様々な問題を処理するために、特に最初の期間はこうした横断的組織の活動が必要となる。
http://financegreenwatch.org/jp/?p=1313

 フクシマは長期戦です。
心穏やかならぬ日々が続きます。

 

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一月を経てもなお・・・(続)

もう少し続けます。

原子力発電といえば、最先端のテクノロジーという印象があります。しかし、原子炉建屋やタービン建屋内という発電所の放射線管理区域内で行われる最前線の現場での作業は、テクノロジーなどとはほど遠いもののようです。そしてそれは、随分以前から指摘されていたことでもありました。

近代科学・技術の最先端をいくといわれている原発だが、そうはいっても実際に原発を動かしているのは人間なのだ。それも、中央操作室で計器類を監視し、スイッチを押す電力会社社員は、そのほんの一部であって、人数面からも仕事量からも、下請労働者の方が圧倒的に多い。つまり原発は、下請労働者の存在があってはじめて原発として稼働することが可能なのである。言いかえれば、現場の最前線に送りこまれ、放射能にまみれて働くことを強いられている労働者たちの存在を無視して原発を語ることはできない、ということなのだ。

原発ジプシー』(堀江邦夫著1984年講談社文庫)に収められた「単行本あとがき」(1979年現代書館刊)に書かれている言葉です。

原子力発電は安全なものなのか。疑問を持った著者は、自ら一人の下請け労働者となって、美浜・福島第一・敦賀の各原子力発電所で働き、放射線被爆の危険な作業にも従事した。その具体的な体験と事実への考察から、科学の虚妄を剥いで、原発の恐ろしさを告発し、未知の実態を伝える画期的なドキュメント。」(裏表紙の惹句)

 1978年9月から7ヶ月間にわたった原発作業員としての日常。文字通り命を賭して書き上げられた渾身のルポルタージュです。今回の事故後再読して、安全という言葉から遠くかけ離れたその現場の危うさや、被曝と真向かう作業員の日常に今更ながら足の竦む思いで、原発という存在の不条理をあらためて強く感じます。

なお、福島第一原発の章中「明け方の5時ごろ、地震で目を覚ます。かなり長いあいだ揺れていた。日中は強風が吹き荒れ、東北線が一時不通になった。」という記述があり、それは3月11日!でした。

当時の労働者の被曝実態を、イギリスのチャンネル4がドキュメンタリーとして1995年に放送しており、ネット上で見ることが出来ます。

隠された被曝労働〜日本の原発労働者〜(26分)
日本の原発労働者の現実を伝える。
http://video.google.com/videoplay?docid=4411946789896689299#

 ところで、福島第一原発の現場作業の苛酷さが、マスメディアでも取り上げられるようになりました。
福島第1原発 『ババ引くのは作業員』嘆く下請け社員
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110421-00000003-maip-soci

福島第1原発 作業員の被ばく線量 管理手帳に記載せずhttp://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110421k0000m040166000c.html?inb=yt

 極限状況の最前線で苦闘する原発労働者(TVニュース)
http://www.youtube.com/view_play_list?p=BDC001F61FC269D3

そして、『原発ジプシー』が書かれた時代や、イギリスのTVドキュメンタリーで描かれた時代と何一つ変わっていない事に、クリーンであることをひたすら喧伝してきた原子力発電所の、窺い知れない深い闇に暗澹たる思いがします。

原発作業員の造血幹細胞保存を、日本人医師グループが提言http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2795880/7096251

 「造血幹細胞採取は不要」と原子力安全委 作業員の命より政治的配慮かhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110403-00000502-san-pol

そして、チェルノブイリ原発事故処理作業者の知られざる現実
放射性物質、放射線の危険性を全く知らされずに作業した労働者は、強い放射線を浴び、放射性物質を体の中に取り込んでしまった。そして、被曝(被ばく)した彼らは・・・
サクリファイス(チェルノブイリの犠牲者) The Sacrifice (24分)

 

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